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zoom RSS 短かすぎた夏を、精一杯駆け抜けた君たちへ 多摩川のコアジサシ雛に捧ぐ

<<   作成日時 : 2011/07/21 21:54   >>

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 夏の多摩川は、冬に比べて野鳥の種類が減るのでしょうか。
 夏鳥が、冬鳥に比べて相対的に少ないのか、夏は木の葉が茂るため、野鳥を見つけにくいのか。理由はいろいろ考えられますが、多分いずれも真実なのでしょう。

 それはさておき、此の季節、川面をキリッ、キリッと鳴きながら高く低く飛び交い、上空でホバリングしたかと思うと、一直線に急降下し、水中に飛び込んで餌を採る流線型のコアジサシの姿は、いまや多摩川中流域の夏の風物詩となっています。

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 川原に腰掛けて、のんびりと時間の経つのも忘れて、その行動に見入っていると、意外に人間臭いその振る舞いに思わずニヤリとしてしまうことがあります。が、その話はまたの機会に。

 コアジサシといえば、絶滅危惧種(U類)に指定されている貴重な鳥ですが、その鳥が遥か赤道近くから此の多摩川にまで渡ってきて、繁殖活動をしているのです。
 なんとか無事に卵を孵し、雛を育て上げて、南半球まで連れ帰って欲しい。そうしてまた来年の春、日本生まれのコアジサシたちが、元気な姿を見せて欲しい。多くの野鳥愛好家がそう願っていると思います。しかし、その願いは、なかなか簡単には聞き届けられません。

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 昨年の今頃、多摩川中流域にある堰堤の上で、たくさんの卵が母鳥に抱かれていました。しかし、孵化の直前になって、大雨ですべて流されてしまったそうです。コアジサシの親鳥たちは重い足を引きずって、南半球へと帰らなければなりませんでした。
 今年の5月ごろ、同じ堰堤上にいくつか卵が見られました。しかしある朝、その卵は一つ残らず無くなっていました。毎朝観察していた人の話だと、どうもカラスに襲われたようです。親たちは此の場所を諦め、より大きなコロニーを形成できる(大勢で一箇所に営巣すれば、襲われたときにも皆で防衛できるので、生存確率が高まります)、やや上流の川原の礫地(大き目の砂利で形作られた中州)に居を移しました。


 今度こそは・・・。
 そうして、今月13日にその場所に行ってみると。

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 ああ、いました。石の陰に、小さな頭が1つ、2つ。卵も雛の背中も、ベージュがかった胡麻塩模様の保護色なので、最初はなかなか見つかりません。
 でも見慣れると、あっ、あっちにも、こっちにも。
 どうやら、孵化してからもう数日経っているようで、何羽かは砂利の上を思い切り駆け回っています。

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 それぞれ親の声を聞き分けているのでしょうか?親が餌を持ってくると、短い羽根で羽ばたき、両足を踏み鳴らし、真っ赤に透き通る大きな口を空けて、精一杯アピールしています。砂利から何度も踏み外し、転げ落ちるので、ヒナの足は血だらけです。
 他方、子供が動き回ってしまうため、餌を銜えて、子供を捜し、うろうろする親もそこここに。

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 「あれ、お前が俺の子かい。あっちの子の方が俺に似ているような」

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 「ちょっと、あんた。何言ってんだい。自分の子供の顔を忘れてどうすんのさ。それとも何かい。またどっかで、隠し子でも作ったのかい?」
 あちこちで、そんなやり取りが聞こえてきそうな賑やかさでした。

 その一方、観察していたホンの1時間ほどの間にも、トビが、チョウゲンボウが、カラスが上空を飛び、又一度は中州の対岸にカルガモが上陸しました。
 親鳥たちはその都度、数羽(抱卵中?それとも、高齢者?)を地上に残して全員が飛び立ち、上空を旋回し、順番に闖入者へと特攻を仕掛けます。この間、ヒナたちは砂利の隙間にじっと身を伏せて、危険をやり過ごします。この時は4羽とも、撃退されました。やれやれ。
 なにせ、営巣しているのは草一本生えていない中州の礫地。上空からは丸見え。絶滅危惧種になってしまったのも、こんな生態と関係するのでしょうか。

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 そんなこんなで、季節外れの迷走台風6号来襲の前日、18日。休日のこととて、釣り人が知ってか知らずか中州の真ん中にパラソルを張って、ずかずかと傍若無人に中央を横切っています。あっ、危ない。研究者がよく知っている営巣地に踏み入る時でさえ、雛や卵を踏み潰してしまわないか冷や汗ものだというほど、見た目には分かりにくいのです。
 この日に限って、それまで営巣していた中州の下流寄りではなく、上流寄りに移動していたのも彼らの所為かも知れません。
 後になって分かったのですが、この日、この中州にオオタカの若鳥が現れたのだそうです。それも朝と午後と。ちょうど昼ごろにその場を訪れた私は、偶然にもその姿をまったく見ませんでした。
 しかし、見た人によると、雛が何羽か襲われたようです。私がその場に居合わせていたら、いけないことと分かっていても、オオタカに石を投げてしまったかもしれません。
 結果論ですが、生き残った雛たちは、翌早暁(細かい日時は確認できませんが)、この付近に降った豪雨による濁流で、1羽残らず流されてしまったようです。オオタカに食われた雛たちは、その生命が別の形で受け継がれただけ幸せだったと、考えるべきでしょうか。

 ともあれ、三日三晩断続的に降り続いた雨が漸く上がるのを待って、今日21日の午後、件の川原に駆けつけてみると、中州はもはや跡形もなく、堰から流れ落ちる濁流が轟々と音を立て、白い波しぶきが飛び散るのみでした。

 やんちゃでおちゃめでちょっぴりドジな、コアジサシの雛たちの在りし日の姿は、アルバム「短すぎた夏 −−− コアジサシ親子」に在ります。
 拙い写真ですが、彼らの魂が安らかに眠れますように、ここに捧げます。

 また来年のお盆に帰っておいで。そうして、君たちの弟たち、妹たちが来年こそ無事に育って、南の島に帰れるように見守ってあげておくれ。合掌。

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